夢譚

ジェリー
ミルラがこんな夢をみたそーだ

アイシス
ヒトがみた夢の話聞かされてもなあ…

 母のホーム入居前にみた夢だが、妙に詳細まで覚えていて、いまだに時折意識の底から、ぷか、ぷか、と浮かんでくる夢である。

 

 母の世話のため、横浜から東京山奥の実家へ引っ越したのは昨年4月のこと。横浜の住まいは川のほとりに在った。実家の近所にも川があり、実はこれが横浜の住まいの川を遡った流れの上流であり、一本の同じ川なんだと知ったのはここへ越してからのことだ。
 
(ここから夢の話)母と川岸を歩いていた。「河口から35km」と書かれた距離標がある。母は周りを一切見ることなく、すたすたと先を行く。二人ともただ黙々と歩き続けた。
 随分、歩いた。
どのくらい歩いただろう?と距離標を見ると、「河口から5km」・・・5キロ?!いつの間に?!行き過ぎだ、戻ろう、と母を促し歩き出した時、対岸の風景に目が行った。高い塀、その手前にいる男性、日傘を差した女性・・・一瞬引っかかるものがあったが、さほど気にせず通り過ぎた。少し行くと対岸にキャリーをぶら下げた女性がいた。女性がキャリーのふたを開け、ぴょこり、と子猫の頭が現れた。心臓が震えた。
「ちび!」
 そうか。
 そう言うことだったのか。
さっきの日傘の女性は16年前の私だ。男性はダンナだ。来年あそこへ建つマンションを購入したんで様子を見に来たんだ。キャリーを下げていた女性も私だ。ちびはうちに来たばかりの頃、怪我や病気でよく病院へ行ったから・・・・
 この川は意外と浅い。
 今、向こうへ渡れば過去へ戻れる。
忽ちその考えに憑りつかれた。そうすればちびの人生は始まったばかりだ。猫も、人も、みんなまだ若々しくて健康だ。母には実家をさっさと売ってもらい、近くへ呼・・・いや、それより故郷へ帰るのはどうだろう?妹たちの近くへ住んで畑をやるとか。そしたらぼけないかもしれない・・・様々な考えがぱぱぱぱと頭に浮かぶ。
 期待いっぱいにざぶんと水に入り、ざばざばと川を渡ろうとした瞬間、なぜか躊躇いが生じた。これって正しいことなんだろうか?と・・・・いい、行ってみ・・・・・・
「に゛っ」
現実の12歳のちびの顔が目の前にあった。

 起きた後で、夢なんだから行ってみりゃよかったのにーと思ったり。いや、映画「タイムマシン」でも、未来を変えるべく何度も過去に戻ってあれこれ手を尽くすが、結局どうやっても結果はさだめとして変えられなかったな…と思ったり。
 ただ一つ言えるのは、この夢は私が一番辛かった時期に、私が幸せだった頃を見せてくれたのかもしれないということだ。
 感謝したいような、余計なお世話なような・・・・夢。